福島原発かながわ訴訟原告団声明の公表について

2013-09-11

「福島原発被害者支援かながわ弁護団」では,2013年9月11日に行った第1次提訴に合わせて,「福島原発かながわ訴訟原告団」を結成し,同原告団の声明を公表しましたので,お知らせいたします。

福島原発かながわ訴訟原告団声明

「暮らしを返せ ふるさとを返せ」

東京電力福島第一原発の核災害によって、神奈川県等で避難生活を余儀なくされている私たち17世帯44名は、本日、奪われた暮らしとふるさとを取り戻すため、国と東京電力株式会社を被告として損害賠償を求める訴訟を起こしました。

請求の内容は、①避難に伴う慰謝料、②生活を破壊され、ふるさとを奪われたことに対する慰謝料、③不動産損害等の個別の損害賠償、の3項目です。

2011年3月11日。この日を境に、私たちの人生は一変しました。

東北地方を襲った巨大地震と津波に、原発の爆発と大量の放射性物質の飛散という未曾有の核災害が追い討ちをかけたのです。

私たちは逃げ惑いました。メルトダウンした原発の状況も、放射能の危険性も知らされないまま、避難所を転々としました。
多くの家族、知人、友人を亡くし、弔うことすらできず、遺骨を抱いたまま泣いた人も少なくありません。
子どもや孫たちと引き裂かれ、温かい夕餉を共にすることもできませんでした。逃げられなかった人たちは、窓を締め切り、放射能の恐怖に怯えました。
多くの町や村は、無人地帯と化しました。

あれから2年半です。

いまなお15万を超す人々が全国47都道府県で避難生活を送っています。
生まれたばかりの孫は歩き、中学生だった子どもたちは高校生になり、70代のお年寄は80歳を超えました。
見通しの立たない避難生活に追い詰められています。ふるさとでは、置き去りにされた家畜も犬も猫も死に絶え、イノシシやネズミが駆け回っています。
雑草に覆われて廃屋同然の我が家。営々と守ってきた田畑は原野に戻ろうとしています。
穏やかな気候と豊かな自然、伝統文化に恵まれたふるさとは、時間の経過とともに、決定的に破壊されようとしています。
子や孫の体と将来を想い、無念の涙が流れ続けているのです。東京オリンピック招致に浮かれる気持ちには、到底なれません。

融け落ちた膨大な核燃料を抱えた原発からは、いまなお、ふるさとの海に、空に、放射性物質が流れ出しています。
安倍首相が本当に「コントロール」できるのでしょうか。
事故原因も被害の全容も、責任の所在も放置したまま、健康を無視した「帰還・復興キャンペーン」が続けられています。
東電は賠償を引き延ばし、値切ることに躍起です。国は黙認しています。検察当局は十分な捜査もせず、刑事責任を闇に葬り去ろうとしています。
これが人権を保障する憲法を持った法治国家なのでしょうか。

私たちは日本の国民です。愛する家族を抱えた庶民です。支えあってきた地域住民です。
人間らしい生活を奪われ、朽ち果てていくわけにはいきません。人間の尊厳を否定する「棄民政策」が繰り返されることは、断固、拒否します。

私たちの究極の願いは、いま経験しているこの苦しみを、日本のどこでも、未来の子どもたちにも、二度と味わってほしくないということです。
そのために、原発と核兵器の廃絶を願い、真の「子ども・被災者支援法」を求めて行動している全国の心ある人々との連帯を信じ、共に闘っていきます。

この願いがかなうまで、私たちは、「暮らしを返せ ふるさとを返せ」と叫び続けます。 

2013年9月11日  福島原発かながわ訴訟原告団

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