ごあいさつ

 2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故は、人類がこれまで経験したことのない未曾有の被害をもたらし、日々私たちに試練を与え続けています。とりわけ地元福島で生活をされていた皆さんは、多大な経済的損失と不便で過酷な避難生活を余儀なくされただけでなく、家族の離散、人間関係の破壊、職場、学校、地域社会の崩壊、そしてふるさとそのものの喪失など文字通り筆舌に尽くしがたい困難に直面されています。
 
 この途方に暮れてしまいそうな被害を克服する方法があるとすれば、それは徹底した被害事実の告発と揺るぎなき責任追及によってのみ可能になる、と私たちは考えます。

 ただ一口に被害といっても個人個人の状況に応じて様々であることはいうまでもありません。そうした個々の被害実態をできる限り集積し、被害の実相をより立体的・総合的に示していくことが重要です。そうした総体そのものが被害なのであり、個別の問題に矮小化してしまうことは、問題の本質を見誤らせることにしかなりません。このように被害者が集まり共同していくことは、単に個人が孤立しないという以上の大きな意味があるのです。ですから多くの皆さんが悩みを抱え込まずに、私たちに相談していただきたいと思うのです。

 また、福島第1原子力発電所から30㎞以遠で生活されていた方々は、原発事故によって避難することを余儀なくされたにもかかわらず、仮払いの対象からも外され、東京電力の本払いの請求書式さえ送られていません。こうした「自主」避難された方々に対する賠償の指針について、現在、原子力損害賠償紛争審査会において議論がなされている最中ですが、どのような結論が出されるのかまだ不透明なままです。しかし「自主」避難者の多くは小さなお子さんを抱えておられ、子どもの健康を心配して無理を押して避難をせざるを得なかった方々がほとんどです。このような方々もまぎれもない原発事故被害者であり、私たちは等しく損害が賠償されなければならないと考えています(同じ意味で福島に留まって生活をされている方々にも甚大な被害があると考えています)。
 
 本来であれば加害企業である東京電力や国は、速やかにこうした皆さんの損害を賠償し、一刻も早く従前の生活を取り戻すことができるよう全力を傾けるべきですが、全くそのようになっていないことは皆さんが日々実感されているとおりです。

 被害を受け日々困窮されている皆さんが、わが国有数の巨大企業や国を相手に賠償を請求することは大きな困難を伴います。現にどうしていいか分からないという方も大勢いらっしゃるでしょう。私たち弁護団は、被害を受けた皆さんにできる限り寄り添いながら、皆さんの被害の実情に見合った正当な賠償を実現するため、東京電力に対する損害賠償請求、紛争解決センター(原発ADR)への申立、訴訟の提起など、法律の専門家としてできる限りの努力をしていくつもりです。被害を受けた皆さんが正当な賠償を受け、被害の回復(これは経済的問題に限りません)を図っていくために力を尽くすことは法律家として当然の責務だと考えているからです。

 不安に思うことや悩みが少しでもあれば、遠慮なく私たち弁護団に連絡をして下さい。いつでもお待ちしています。

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