中間指針追補に対する弁護団声明

2011-12-20

2011/12/19
福島原発被害者支援かながわ弁護団
弁護団長 水 地 啓 子

1 原子力損害賠償紛争審査会は、2011年12月6日、自主的避難等に係る損害について、中間指針の追補を発表した。これによると福島県内23市町村を自主的避難対象区域と定め、対象区域の住民に対し、避難の有無を問わず、18歳以下の子どもや妊婦について一律40万円、それ以外の者について一律8万円を、生活費増加分を含む精神的損害の目安とした。

2 いわゆる「自主的」避難をした人々について、これまで審査会において具体的な指針は何ら定まっておらず、東京電力からの請求書式さえ送付されないという全く手つかずの状況におかれていた。しかし、中間指針追補も認めるとおり、これらの人々が、放射線被ばくについて恐怖、不安を抱くことは合理性があり、避難指示等対象区域の住民と異なる扱いをする根拠はない。当弁護団にも「自主的」避難者からの相談が多数寄せられているが、これらの人々の多くは家族と離れ、幼い子どもを連れての避難生活を余儀なくされているのであり、放射線被ばくについての不安に加え、正常な日常生活を奪われたことによる精神的苦痛は相当であり、また生活費の増加も著しい。
  そうであるにもかかわらず、救済について何らの手立てもとられてこなかったことで、多くの者は「国からの東電からも見捨てられている」という疎外感を抱きながら生活してきた。

3 今回中間指針追補で示された一律40万円、8万円という金額は、こうした実情に照らし余りに低額に過ぎる。まさに耳を疑いたくなる程の低廉さであり、「自主的」避難をした人々は、2度見捨てられたと感じざるを得ないであろう。
  中間指針は、避難指示等対象区域について、生活費増加分を含む精神的損害として1ヶ月10万円(避難所にいた期間は12万円)を目安としているが、そもそもこの金額自体が低額に過ぎ、大幅に引き上げられなければならないが、自主的避難等について、それをさらに下回る損害しか認められないことに何らの合理性はない。

4 当弁護団は、原子力損害賠償紛争審査会に対し、中間指針及び追補を抜本的に見直し、避難指示等対象区域の住民と自主的避難等対象区域の住民の区別を排し、精神的損害についての目安を大幅に引き上げると共に、生活費増加分について独自の損害項目として賠償を認めるよう要望する。また東京電力は中間指針等の金額に拘泥することなく、被害の実情に見合った賠償を行うことを強く求めるものである。

以上

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