‘弁護団の声明など’

東京電力株式会社に対する署名提出・申し入れのご報告

2012-02-26

「福島原発被害者支援かながわ弁護団」は,2012(平成24)年2月24日(金),東京電力株式会社に対し,原発被害者の生活再建のため,東京電力株式会社に速やかな内払いを求めるべく,「東京電力に対し,被災者に対する正当な賠償を求める署名」を持参して,その申し入れを行いましたので,ご報告します。

この申し入れは,全国の5つの弁護団との連名で行ったもので,署名は全国各地から,1000余筆に上りました。

当弁護団は,東京電力株式会社への申し入れの後,原子力紛争解決センターにも申し入れの報告を行いました。

申し入れの様子は,写真をご覧下さい。



また,申し入れとこれに先立つ記者会見の模様は,NHK首都圏のニュースで報道されましたので,あわせてご報告いたします。

(以下,NHKニュースサイトから抜粋)

原発賠償 早期和解を申し入れ


(2月24日 16時17分)
東京電力福島第一原子力発電所の事故の損害賠償を巡り、被害者の支援に当たっている弁護団が、東京電力に対し、国の第三者機関が示した和解案を受け入れないのは不当だと訴えて、早期に和解に応じて被害者を救済するよう申し入れました。

申し入れを行ったのは、原発周辺の住民など事故の被害者を支援している弁護団です。
24日、弁護団のメンバーらが東京電力の本店を訪れ、国の「原子力損害賠償紛争解決センター」が示した和解案を尊重し、早急に受け入れるよう求める申し入れ書を担当者に手渡しました。
担当者は、「内容を確認し、適切に対応させていただきます」と述べました。
紛争解決センターは、被害者と東京電力との和解を仲介するために去年8月に設置されましたが、これまでの和解の成立は10件にとどまり、センターからは、「和解案に対する東京電力の姿勢は消極的すぎる」という批判の声が上がっています。
弁護団は、「避難生活が長引くなかで、生活に困窮する被害者も出始めている。東京電力は、国から財政的な支援を受ける際に『センターの和解案を尊重する』と約束したのに、今の対応は不当だ」と批判しました。

署名ご協力のお願い

2012-02-13

「福島原発被害者支援かながわ弁護団」は,原発被害者の生活再建のため,東京電力株式会社に速やかな内払いを求めるべく,「東京電力に対し,被災者に対する正当な賠償を求める署名」の賛同を募ることとしましたので,お知らせします。

署名にご協力いただける方は,リンクのPDFファイルを印刷していただき,当弁護団事務局(〒231-0011 横浜市中区太田町4-55 横浜馬車道ビル6階 馬車道法律事務所内 福島原発被害者支援かながわ弁護団事務局)まで,ご郵送下さるよう,お願いいたします。

また,ご希望の方は,当弁護団事務局(045-651-5052)にご連絡いただければ,署名用紙をお送りいたします。

● 東京電力に対し,被災者に対する正当な賠償を求める署名用紙 ●

以下,署名用紙に記載された内容の全文を掲載します。


東京電力株式会社 代表取締役社長  西澤俊夫 殿

東京電力に対し、被災者に対する正当な賠償を求める署名
~原発被害者の生活再建のため、東電は速やかに内払いを行ってください!

 2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故は、人類がこれまで経験したことのない未曾有の被害をもたらしました。

とりわけ地元福島で生活をされていた方々は、多大な経済的損失と過酷な避難生活を余儀なくされただけでなく、家族の離散や地域社会の崩壊など、文字通り筆舌に尽くしがたい困難に直面されています。

この被害は、本来、加害企業である東京電力において、正当に賠償がなされなければならないことはいうまでもありません。原子力損害賠償紛争解決センターの手続きはその重要な手段になっています。

 加害企業である東京電力は、昨年10月28日、原子力損害賠償支援機構に資金援助を申請する際、「被害者の方々への5つのお約束」として、「迅速な賠償のお支払い」「きめ細やかな賠償のお支払い」「和解仲裁案の尊重」「親切な書類手続き」「誠実な御要望への対応」を国民に約束していました。

 ところが、その後始まった手続きにおいて、東京電力は、原子力損害賠償紛争解決センターの示した和解案を拒絶し、厳格な清算条項(後の支払いを拒むもの)や仮渡金の精算を求める等、被災者の切実な要求を踏みにじっています。

これは、国民との約束である「5つの約束」を反故にし、被災者をいわば兵糧攻めにする暴挙というほかありません。そこで、私たちは、被災者の早期の救済を訴え、以下のことを要請します。

要請事項

1.東京電力は、「5つのお約束」を遵守し、原子力損害賠償紛争解決センターの「和解仲裁案の尊重」に努めて下さい。
2.東京電力は、「迅速な賠償のお支払い」を実行し、困窮する被災者に対し、生活再建のため必要な賠償(内払い)を直ちに行って下さい。


ADR第1号事件における東京電力の和解案回答に対する抗議声明

2012-02-06

「福島原発被害者支援かながわ弁護団」は,原子力損害賠償紛争解決センターの第1号事件について,和解案に対してなされた東京電力株式会社の回答に抗議する声明を公表しましたので,お知らせします。

・・・・・・・・・・・・・

原子力損害賠償紛争解決センター第1号事件和解案についての東京電力の回答に対して抗議する

2012年2月3日
福島原発被害者支援かながわ弁護団
団 長  水 地 啓 子

1 はじめに

本年1月26日、東京電力株式会社(以下「東京電力」という)は、原子力損害賠償紛争センター(以下「センターという」)第1号事件について、昨年12月27日に仲介委員が示した和解案(以下「本件和解案」という)に対する回答を行った。
これによると、東京電力は財産価値の減少等に関する賠償には応じる姿勢を示したものの厳格な清算条項の設定を求め、また中間指針で示された慰謝料額の目安を上回る支払や内払い(後に見直す余地を残すもの)の提案を拒み、さらに、仮払い補償金との清算は最終的に損害が確定した時点で行うべきとしたことさえも拒絶するなど、和解案の重要部分の受け入れを拒否する内容となっている。
こうした東京電力の回答は、以下に述べるとおり、原発被害者の早期かつ適正な救済を阻み、センターの和解仲介機能を失わせかねないものであり、当弁護団として断固抗議する。

2 被害者の置かれた現状とセンターの和解仲介手続への期待

東京電力福島第1原子力発電所事故による被害は未曾有の規模で拡大し、事故後11ヶ月近く経過した現在もなお収束しておらず、その見通しさえ立っていない。被害者の多くは現在も困難な避難生活を余儀なくされている。再び地元に戻れるかどうか全く分からないという不安も大きく、将来設計もままならない状態におかれている。多くの被害者は本件事故によって経済基盤を奪われたままであるが、もとより厳しい雇用情勢に加え、福島へ戻ることを前提に職を探すのか、それを諦めることを前提に職を探すのかの決断が難しいなどの事情も加わり、避難者が職に就くことも困難な状況が続いている。このような中で、避難者の経済的困窮は進んでおり、早期救済は急務である。
しかるに、東京電力が準備した請求書による損害賠償請求は、その水準の低さ、清算条項の存在、請求書式の難解さなどが原因となり、一向に進んでおらず、被害者の救済は遅れている。
本来、加害者である東京電力との間で合意ができなければ、裁判所の司法手続によって、個別の事案ごとに賠償問題が解決されるべきものである。しかし、裁判手続は一般に証拠書類や証拠物の提出、証人尋問、専門家による鑑定等により立証していくため、相当程度の時間を要する。これに対し、センターの和解仲介手続は、被害者の立証の負担を軽減し、裁判手続に比して早期迅速に解決を図るために創設されたものであり、被害者の早期救済の点からその果たすべき役割は極めて大きく、多くの被害者がその役割に期待をしているところである。
このことは、東京電力も後に述べる特別事業計画の中で「賠償額について、被害者の方々と東電との合意が得られなかった場合、裁判外紛争手続きの一つとして、紛争審査会に和解の仲介を依頼することが可能である。」「裁判費用を要しない紛争審査会の利用は被害者の方々の御負担の軽減や紛争の迅速な解決に役立つものと考えられる。」として自ら認めるところでもある。
このように、今こそセンターの和解仲介手続きを充実させ、被害者に対する迅速な賠償が進められることが何より求められている。

3 本件和解案の意義

 こうした中でセンターによって示された本件和解案は、以下のとおり、極めて重要な意義を有する内容となっている。

①早期救済への配慮
 まず、本件和解案は、総論として「迅速な解決、特に被害者が事故後9ヶ月以上経過するのに、未だ避難生活を余儀なくされ、不自由な生活状況に置かれたままでいることに鑑みその早期救済は急務でもある。」「今回の事故の規模と重大さ、そして、何よりも従前の生活に戻れる見通しが未だ明らかでなく、現時点で損害全体の被害回復がなしえないことを考慮して、少なくとも今回示した和解金額については、被申立人(東京電力)が直ちに支払うべきである」との認識を示し、被害者に対する早期救済の必要性を強調している。

②慰謝料の増額
 そして、本件和解案の示す慰謝料額は、当弁護団が相当と考えて請求している額には満たないものの、中間指針の示した金額はあくまでも目安であるとし、個々の避難者の属性や置かれた環境等によって慰謝料の額の増額を妨げるものでないとして、避難生活に伴う慰謝料額の増額を認めている。
また、「申立人らは、本件事故によって急きょ避難を余儀なくされ、生活の基盤、日々の暮らしを一瞬にして失ったものである。かかる事態により受けた精神的苦痛、衝撃は、避難生活に一般的に伴う慰謝料のみでは評価し尽くせない。」として、長期の避難生活が継続することに伴う精神的苦痛とは別に、個別具体的な事情に基づく慰謝料を認めるべきとして、東京電力に対し、慰謝料を加算して支払うよう求めている。

③内払いの提案
 今回の原発事故による被害は、その規模が余りに大きく、かつ現在も継続しているもので、現時点で損害の全貌さえはっきりしていない。こうした中で、支払合意における清算条項(今後一切の請求ができない旨の合意)を設定することは、請求時に発生していた損害を後日請求する可能性を否定するものであり、被害者にとって不十分な賠償額で打ち切られ、適切な賠償を受けられなくなるおそれが強く、その心配から現時点での請求自体をためらわせることにもなりかねない。
本件和解案は、「現時点で損害全体の被害回復がなしえないことを考慮」すべきとし、また慰謝料についても「今後、帰宅が困難、あるいは帰宅できるとしてもそれまでに相当な日数を要することが明らかになった場合は、その時点において別途、慰謝料が改めて算定し直される余地がある」ことを理由に、現時点での迅速な支払いのために、清算条項なしの内払いを求め、「今回示した和解金額については、被申立人(東京電力)が直ちに支払うべきである」としている。
 この提言のもつ意義は極めて大きい。これが認められることになれば、被害者は後の請求が制限されることを恐れることなく、当面の損害の賠償を受けることが可能になり、現状の生活維持を図ることができる。このことは、センターの和解仲裁機能を飛躍的に発展させるものであり、迅速な賠償の実現に向けて大きな前進となる。当弁護団が、最もこのことを重視する所以である。

④仮払金の控除を否定
 さらに、本件和解案は、「仮払金については、本件和解提示額からの控除はせず、後日、損害額の全額が確定した際に最終清算されるのが相当である」として、和解金から仮払金を控除すべきとする東京電力の主張を退けた。
 そもそも未だ損害が継続中の現時点で仮払金を清算すべき必要はなく、本件和解案が仮払金の控除を否定したことは、被害者の早期救済の観点からも当然である。

4 東京電力が本件和解案を拒否することは許されない

このように本件和解案は、被害者の救済にとって極めて重要な意義をもっている。センター自身が、被害実態を丁寧にフォローした上で、被害者の早期救済を実現するためにセンターの和解仲介機能の充実を図ろうとするという決意に満ちたものであり、被害救済に向けた道筋をつけようというメッセージが強烈に込められたものと評価できる。しかしながら、東京電力は本件和解案の主要な内容(前記3①~④)を拒否した。東京電力のこのような態度は、センターによる和解仲介手続を実質上無意味にすることになりかねず、断じて容認することができない。
そもそも、東京電力は、昨年10月28日、原子力損害賠償支援機構に資金援助の申請を行うと共に、政府に対して特別事業計画の認定を申請したが(同年11月4日に本計画は認定された)、この中で「親身・親切な賠償のための5つのお約束」をした。その重要な柱がセンターによる和解仲介案の尊重であった。東京電力は本計画の中で「裁判費用を要しない紛争審査会の利用は、被害者の方々の御負担の軽減や紛争の迅速な解決に役立つ」「被害者の方々の立場に立ち、紛争処理の迅速化に積極的に貢献するため、紛争審査会において提示される和解案については、東電として、これを尊重することとする。」と明確に述べているが、東京電力の今回の和解案に対する回答は、その約束を完全に反故にするものである。
本計画は東京電力が公的資金の援助を受けるための条件とされているのであり、まさに「親身・親切な賠償のための5つのお約束」は国民に対する約束である。その約束を、僅か3ヶ月足らずで反故にすることは到底許されるものではない。何より、今回の回答により、現在も極めて困難な生活を強いられている被害者の早期救済を遠ざけたことは、加害責任を全く省みない非人道的な対応であり、許し難い暴挙である。

5 被害者の早期救済のために

神奈川県内においても、現在2500名を超える福島県からの避難者が生活している。当弁護団は昨年12月19日に、県内避難者の5件9名のセンターへの集団申立を行い、さらに本年2月14日には第2次の集団申立を予定しており、今後も集団申立を続けていく方針である。
すでに述べたとおり、東京電力の和解案に対する回答は、センターの和解仲介機能を無意味なものにしかねず、被害者の早期救済に完全に逆行するものである。よって、当弁護団は、東京電力の本件和解案に対する拒否回答に断固抗議する。そして、東京電力に対し、原発被害者の早期救済を進めるため、センターの今回の和解案をすべて受諾することを求める。また、政府関係機関においても、東京電力に対し、被害者のすべての損害を迅速かつ適切に賠償するよう指導・監督を徹底することを求めるものである。

以 上

申立人(被害者)ご本人のコメント

2012-01-12

「福島原発被害者支援かながわ弁護団」は,2011(平成23)年12月19日,原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)に対し,東京電力株式会社に損害賠償の支払を求める集団申立てを実施しました。
申立人のお一人となった被害者の方から,申立てにあたってのご心境などについて,コメントをいただきましたので,下記のとおりご紹介いたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・
・生活落差の大きさと、生まれ育った地を思う強い気持ちのせいでしょうか、怒りを忘れ呆然と日々を過ごしております。

 偉い人が新しいエネルギーは之であるとか、原発推進派の滑稽な足掻きや、鬼の首を取ったかのような反対派の騒ぎが、それを助長します。

 テレビニュースに故郷の名前が連呼され、示される「数値」によって、遠く手の届かない場所になっていく気がして希望が日に日に薄れていきます。

「東京電力女子社員が優先です」平成23年3月12日夜、地震による自宅の損壊を免れたものの、原発に異常が出たので念のため山間の小学校に避難していた我々は、そう告げられ、同心円のさらに外側へ避難するバスの先頭車両を見送ってから後続車両に搭乗しました。

 いままで多くの記者会見を通して東京電力が我々原発事故避難民をどのように考えているかを知ろうと努めてまいりましたが本心を読み解く事は難しく、事在る毎に明言を避けている印象でした。
今回の提起の回答に拠ってそれが示されるものと信じております。

・今まで地域に様々な目的の建物が整備され、暮らしやすい環境を提供してくれたのも原発。
避難民の大部分は原発によって今までの生活が支えられていたことも事実です。
しかしこの災難を天秤にかけて原発を受け入れたものの禍福であると言われれば、それは酷な話です。
・・・・・・・・・・・・・・・・

「福島原発被害者支援かながわ弁護団」では,弁護団の声明などのほか,被害を受けられたご本人のコメントなども,順次,ご紹介させていただきます。

中間指針追補に対する弁護団声明

2011-12-20

2011/12/19
福島原発被害者支援かながわ弁護団
弁護団長 水 地 啓 子

1 原子力損害賠償紛争審査会は、2011年12月6日、自主的避難等に係る損害について、中間指針の追補を発表した。これによると福島県内23市町村を自主的避難対象区域と定め、対象区域の住民に対し、避難の有無を問わず、18歳以下の子どもや妊婦について一律40万円、それ以外の者について一律8万円を、生活費増加分を含む精神的損害の目安とした。

2 いわゆる「自主的」避難をした人々について、これまで審査会において具体的な指針は何ら定まっておらず、東京電力からの請求書式さえ送付されないという全く手つかずの状況におかれていた。しかし、中間指針追補も認めるとおり、これらの人々が、放射線被ばくについて恐怖、不安を抱くことは合理性があり、避難指示等対象区域の住民と異なる扱いをする根拠はない。当弁護団にも「自主的」避難者からの相談が多数寄せられているが、これらの人々の多くは家族と離れ、幼い子どもを連れての避難生活を余儀なくされているのであり、放射線被ばくについての不安に加え、正常な日常生活を奪われたことによる精神的苦痛は相当であり、また生活費の増加も著しい。
  そうであるにもかかわらず、救済について何らの手立てもとられてこなかったことで、多くの者は「国からの東電からも見捨てられている」という疎外感を抱きながら生活してきた。

3 今回中間指針追補で示された一律40万円、8万円という金額は、こうした実情に照らし余りに低額に過ぎる。まさに耳を疑いたくなる程の低廉さであり、「自主的」避難をした人々は、2度見捨てられたと感じざるを得ないであろう。
  中間指針は、避難指示等対象区域について、生活費増加分を含む精神的損害として1ヶ月10万円(避難所にいた期間は12万円)を目安としているが、そもそもこの金額自体が低額に過ぎ、大幅に引き上げられなければならないが、自主的避難等について、それをさらに下回る損害しか認められないことに何らの合理性はない。

4 当弁護団は、原子力損害賠償紛争審査会に対し、中間指針及び追補を抜本的に見直し、避難指示等対象区域の住民と自主的避難等対象区域の住民の区別を排し、精神的損害についての目安を大幅に引き上げると共に、生活費増加分について独自の損害項目として賠償を認めるよう要望する。また東京電力は中間指針等の金額に拘泥することなく、被害の実情に見合った賠償を行うことを強く求めるものである。

以上

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